なぜ漢方に人工知能(AI)を使うのか?
人はそれぞれに個性を持ち、性格も顔もみな違うように、健康も人それぞれです。ですから、漢方薬もまた人それぞれなのです。漢方では、その人にぴったり合う漢方薬を見つけるために、漢方特有のモノサシを用います。
たとえば心身の状態に体格や体質、生活環境など、さまざまな要素を多角的、総合的に見て判断します。そのうえで、その人の今の状態に適した生薬の組み合わせや最適な摂取量を考えるのですが、その判断要素はじつに多岐にわたります。そして使用する生薬の種類も膨大な数になります。
専門家一人の知識や経験だけでは、そのすべてをカバーすることは難しく、ときに誤解や齟齬が生じることにもなりかねません。
私たちは、多くの専門家の知恵と経験を集めて、膨大な要素のすべてをカバーして答えを導きだすことのできるAI(人工知能)を活用することで、これまでにない高い精度の見極めを可能にできるのではないかと考えています。
最適な漢方を導きだす人工知能「Kampo AI」とは
中医学や漢方のプロフェッショナルとして医師や薬剤師、鍼灸師たちが集まり、中医学の最古の医学書である「黄帝内経」を基本理念として探求し、「傷寒論」や「神農本草経」などの膨大な症例、生薬学などを集積し、また漢方独自の診察法「四診」と、その診断情報をもとに「八綱弁証」という尺度によって治療方針を判断する「弁証論治」の理論を学ばせた人工知能が「Kampo AI」です。
伝統医療を尊重しながら、日々更新される最新の研究データを集積することで、これまでにない高い精度の見極めを行うことが可能となりました。
またこのシステムは画像診断などIoTとも連携を行い、実際に医療機関でも採用されており、さらなる学習と研究が継続され、進化し続けています。
中国の名医の診立てに匹敵する「体質九分類」を採用
私たちのシステムは、「中医体質九分類」という体質判定を採用しています。これは、王琦北京中医薬大学終身教授が体質理論をもとに確立し、中国政府で公式に認められたものです。
中国全土200か所以上の病院で採用され、中国の老中医(名医)の診断制度との比較で、70%以上の適合性が証明されているものです。
国内では未病体質研究会が、NPO法人日中健康科学会との協力体制のもと、国内の大学とも研究を行い同様の精度を確認しています。
私たちは、この体質判定理論のもとで実証した日本のデータを、人工知能(AI)を活用して独自にシステム構築しています。システム設計にあたっては、生薬研究を行っている大学教授の指導を得て、生薬の効果だけでなく、副作用や飲み合わせについての情報も集積しています。
こうして継続的に一人ひとりの状態や経過確認を蓄積していくことで、どんな時にどんな生薬が、またどんな養生が最適なのかを見極めるためのデータ解析を行うことができ、さらにユーザビリティの高いサービスを提供することができるのではないかと期待しています。